奇跡の猫結(むすび)ちゃん

 

2012年5月14日、それは1通のメールから始まった。
“5月13日に長距離バスを利用し、トイレ休憩に寄ったパーキングエリアに2匹の野良ネコがいました。1匹はいろんな色の混ざった黒っぽい猫で、とてもなついていてニャーニャーと人に寄っていき餌をねだっていました。もう1匹は真っ白の猫でしたが、みかけただけなので慣れているかわかりません。この2匹を保護して里親を探してほしい”というものだった。私がボランティアでお手伝いをさせていただいてる保護部屋の猫たちの里親を探すために作ったブログか里親探しのページを見つけたのだろう。


メールにはトイレと自動販売機しかなく、野良ネコ注意、エサをあげないで、かまれることもありますという注意書きがあり、利用者からのクレームで捕獲されて保健所へ連れていかれるのではと心配で、保護が無理でも誰かに時々様子を確認しに行ってほしいとも書かれていました。
しかし私たちの住む淡路島のパーキングエリア、バス停、漁港などにはたくさんの猫がいて保護したくてもすべての猫を救うことができず、お断りしました。私も旅行で観光地でもあるこの街に来たときに(今は住んでいますが)捨てられた猫を見つけたのに助けてやれなくて、家に帰ってからなかなか忘れられず保護団体をネットで探した記憶があるので依頼者の気持ちは痛いほどわかります。


しかしボランティア仲間もみな家庭もあり、仕事もあり、保護猫たちのお世話をもっと手伝いたいのにできなくて、それでもなんとか時間を作って保護部屋の掃除などに集まっておりました。依頼された場所に一度でもその猫たちを見に行ってしまったら、私も仲間もその猫たちの事が気になってしまい、家で飼うことも餌やりに行く時間もないのはわかっているので辛い気持ちになるだけなら見ない方がいいと思いました。なので、時々様子を見に行くことさえできないとメールで返信をしました。


冷たいようですが、保護したくてもできない猫が本当にたくさんいて、保護部屋で猫のお世話をしている人が腰を痛めてしまったこともありこれ以上増やすのは無理だろう。早く里親を探してやりたい猫もたくさん保護部屋にはいて、中には7年もケージの中で暮らしている猫もいるのです。こうい依頼が入った時に「大丈夫ですよ!必ず保護しますから安心してくださいね」と言えたらどんなに私たちもうれしいでしょう。

 

 

 


5月15日
しかし、やはり気になって、翌日こっそり見に行ってしまいました。自分に「見に行ってしまったらずっとそこの猫の事が頭から離れなくなってしまうからやめなさい」と言ったのですが、もう一人の私は「依頼主と同じ思いをしたから、こうして猫を助けようとボランティアをはじめたんでしょ!せめて元気だったようすを知らせてあげなさい」とささやくのです

 

そこには真っ白な猫がいましたがなついておらず、斜面の上からじっと見ていてドライフードを置いても私が離れないと食べに来ません。そうじのおばさんにここには何匹の猫がいるか聞くと白いのと黒っぽいの2匹だけと言いました。

 

近くの産地直送販売店の店員もこの辺りには白いのと黒っぽいのが2匹だけと。。。依頼主の見た猫はその2匹だったのでしょう。なつっこい黒っぽい猫はいませんでしたが。。。


そして家に帰ると依頼主からメールが届いており、“実家の両親を説得し、猫を飼ってもらうことになり土日に自分も保護しに行くが、その時保護できないと連れて帰れないのでなんとかそれまでに保護できればお願いできないでしょうか”と。もちろん飼ってもらえるなら喜んで手伝うし、淡路島の猫を救ってくれることをうれしく思いました。

 

 

 

 


5月16日
ボランティア仲間の『猫使いムートン』と一緒に猫を探しに行きましたが、広いパーキングエリアや隣接した公園や散歩道を歩きまわりましたが、1匹の猫の姿も見えません。私たちはお腹がすいたので自動販売機のカップラーメンを食べました。少し残ったスープを裏の草むらに捨てたが、「しまった、カレー味だから猫がこれを食べたら辛くて可哀そう」と言うとムートンは「食べないでしょ~」って。そうよね、こんな辛い物匂いを嗅いで口にはしないよねと思いました。


しばらくしたら、どこかできっと隠れて見ていたのでしょう、その捨てたスープのところでがつがつとラーメンのカスを食べている猫の姿が。黒っぽい、色の混ざったサビ猫です。しかし、呼んでも近づかないし、こちらが近くに行くと逃げるし、全然なつっこくなくて保護できるかな?って感じでした


持ってきたキャリーにフードを入れておくと少しずつ寄ってきて、ものすごく警戒しながらもキャリーの中に入ってフードを食べ始めました。猫が中に入ったところを私がふたをしめようとしましたがしっぽが挟まりそうで手を緩めた瞬間、大暴れしてキャリーをひっくり返して逃げていきました。高い斜面まで逃げ、じっとこちらを見ていて、私たちに近づこうとはしなくなり、あせってふたを閉めたことをとても後悔しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはもし保護しても飼い猫になれるだろうか?依頼主さんも自分が見かけた猫は誰にでもニャーニャーと寄って行ってたので、まさか別の猫ではないかと不安に思いましたが、今日会ったこの前とは別のそうじのおばさんも白いのと黒っぽいのと2匹しかいないと言ってたし、今日いた猫があの時の猫だったと信じることにしてその猫を保護してほしいと依頼主さんも言うので明日また行くことに

 

 

 

5月17日
ムートンと見に行ったが1匹も猫を見かけなかった。産直の人は黒っぽい猫はお腹が大きかったと言うので、まさか子猫がいるんじゃないかとますます不安になった。私たちが保護しそこねた猫はお腹は全然大きくなかったのだ。


また違うそうじのおばさんもいたがその人も白いのと黒っぽいのとここには2匹だけと言いました。なつっこい猫でも、私たちの捕まえようとする気持ちが伝わってしまって昨日は警戒したのでしょうか。。。あんなに警戒していては保護は難しい。。。

 

 

 

5月18日         
朝、私が一人で行くと、パーキングエリアの裏の木陰の散歩道に猫がいました!黒っぽいサビ猫です!

 

しかしうずくまって動きません。よく見ると頭からあごまで顔の肉がななめにそげ落ちひどい怪我です。ハエもたくさんたかりカラスも騒いでいました。持ち上げてキャリーに入れても暴れることなく入りました。車の中には時々苦しそうな息が聞こえたが鳴くこともなく、身動き一つしません。車にはねられたのだろうか?

  写真をクリックしますと画像が拡大されます。

 

(私自身虐待にあった猫や事故にあった猫などの画像が見られません でした

 画像が頭に残ってしまってなかなか忘れられなくなってしまうから。。。

 他のサイトなどでショッキングな画像もさけてしまいます。 現実にあったことなので

 載せますが、怪我した猫を見たくない方はクリックしないでください )

 

↓怪我した猫の画像

 

すぐに獣医さんに連れていきましたが頭蓋骨が割れており、体温も下がり始めていて、もう助からないだろうと言われました。


助からないのなら、せめて苦しみを早くとってやりたく、安楽死をお願いしたら、猫が急に顔をあげ、先生を見つめたので先生は「この顔を見たら殺すことはできない」と言いました「お乳が張っているので、子猫もいますよ」と言われ、胸が張り裂けそうでした。頭を持ち上げる力があるなら、一晩たって少し体力が回復する事も以前あったそうで治療してみますと。。。。

 

先生は「何もしないと後で自分が後悔するでしょ?手を尽くしてダメだったら納得いくでしょう」って。「この猫を私が引き取るから」と言いました。先生は保護部屋の事情も分かっておられ、大きな手術にかかるお金が無いことや、私が主人に内緒で保護活動の手伝いをしていて、自由になるお金が無いことも話してあったのでそう言ってくださったのだと思います。

 

せめて点滴代だけでもとお金を渡そうとしましたが「勝手におせっかいでやるんだからいいの、その分保護部屋の子たちのエサを買ってやって」と受け取ってもらえませんでした。


そして保護部屋の掃除をしていたら先生から電話が入り、「パーキングエリアの上り?下り?」と聞かれ上りだと答えると「今から子猫を探しに行ってくるわ、もの好きでしょう~」と笑いました。
先生の猫に対する愛情の深さに対し、自分は猫の保護も今回の治療も努力することなく、あきらめることを先に考えてばかりで、なんだか情けなく、また恥ずかしく思えました。


私も掃除を終え、パーキングエリアに子猫を探しに行くとそこにはボランティア仲間のMさんが着いていて、先生から連絡を受けて手にキャリーを持って子猫を探していました。Mさんも20匹以上の猫を保護していて、怪我した猫をの治療を休日などでも先生は快くしてくれたのだそうだ

 

するどこから現れたのか怪我していた猫とまったく同じ柄の黒っぽいサビ猫が「にゃ~ん」と甘えてすり寄ってきました!

この子が依頼主が会ったなつっこい猫に間違いない!

そうじのおばさんは今朝保護した猫とこの猫の2匹が並んでいるところを見たことがなかっただけなのだ!怪我した猫は臆病であまり人前に出てこなかったせいもあるだろうが、このなつっこい猫なら簡単に保護できそうだとMさんとキャリーに入れようとしたらなんとこの猫もお乳が張っててどこかに子猫がいるようだ。


母猫だけ保護したら子猫は死んでしまうだろう。なつっこい猫に残すほどたくさんのフードを食べさせ、子猫の元へ帰るのを待ちました。

 

猫が歩きだしたので先生とMさんと3人で猫の後をついて行くと大きくぐるりと歩き回って、かなり長いお散歩をしたかと思うと寝ころんでくつろぎ始めました。野良ちゃんの中には育児放棄して子猫を育てなかったり、カラスに子猫をやられたりすることがあるし、先生も「こんなに長い間子猫をほおっておくかしら?ひょっとしたら子猫はいないかもしれないわね」とも言ってたので、ものすごく悩みましたが母猫を保護することに


一昨日保護しそこねた猫も今日は大怪我をしていたのできっとあの猫が体を張って、「保護できるときに保護すること」を私に教えてくれたと思い込むことにして、このなつっこい猫を保護部屋に連れて帰りました


普段はワクチン接種をしてから1週間隔離しないと保護部屋には入れないのですが、明日には依頼者が迎えにくるので保護部屋からできるだけ離れた場所にケージを置いてもらう事になりました。こうして一時的にも置いておける場所があるからこそ保護できたので、本当に感謝です。
猫はケージの中でずっと鳴き叫び、やはり子猫がいるのではないかと不安になります。

 

 

5月19日
依頼者が3時頃に到着すると言うので、それまで子猫を探すことにしました。
保護した猫はずっと鳴き続けていたそうです。私は直接パーキングエリアに向かい、ムートンが猫に首輪とリードをしてパーキングエリアに連れてきました。きっと子猫がいれば真っ先にそこへ行くだろうと思ったのです。


でもキャリーを開けると狂ったように飛んだり跳ねたりして、あのおとなしくてなつっこい子がこんなに暴れるのかというほどでした。
首輪で首を吊ってしまうのではないかと思うほど何度も飛んだり引っ張ったりして。ムートンはとにかくリードを離さないのに必死で私は抑えつけるタオルか何かなかったかとおろおろし、するとムートンが「上着!」と叫び、自分の着ていた上着を脱ごうとしてるので私はムートンの上着を脱がし、ムートンが上着で猫を抱え込みキャリーに入れました。

買ったばかりのムートンのスマホがコンクリートの上に滑り落ち

傷だらけに・・・

 

甘かったです。今まで外にいた猫にリードをしたりキャリーに入れたら逃げようと必死になるのはあたりまえなのに・・・
キャリーに猫を入れたまま歩き回りましたが子猫は見つからず、私も朝から探していたけれど日差しも強くだんだん疲れも出てきて、もうあきらめようと思っていました。

 

その時ムートンが「今の鳥の声?」と聞きました。何かの鳴き声がしたようですが私には鳥の声以外聞こえませんでしたがUさんは、子猫の鳴き声がはっきり聞こえてきたようで草村に駆け寄り1匹の真っ白な子猫を見つけました!


「おった~!生きてる!」

 

少し暑い日差しの中、真っ白の子猫の息は苦しそうでしたが一生懸命鳴いています。まだ目も開いてない生まれたばかりの子猫がよく生きていてくれました。昨日からお乳を飲んでいないからすぐに車内でムートンが母猫に会わせると子猫のおしりをなめ始めました。こうしてなめておしっこを出してあげるのです。

 

私はさっきの子猫を見つけたまわりを探しました。今度はニャーニャー私にもはっきり聞こえ、斜面の上の方にあるコンクリの下の小さな穴の中に2匹!茶トラと真っ白の子猫を見つけました。すぐに母猫と一緒にして、お乳を飲ませ保護部屋に連れて帰りました。

 

白い子が穴から這い出し、転がり落ちて必死で鳴いたので他の子たちも助かりました。こんなへその尾もついている生まれてすぐの子猫は普通は這って巣穴から出るなんて不可能な事なのに!この白い子猫のおかげで兄弟の2匹も見つけることができました。何よりもムートンが「今日は絶対に子猫を見つける」という強い意志で探したのだと聞いて、彼女の猫を思う気持ちが発見につながったのだ。


私はその場に残り、怪我した猫の方の子猫を探しましたが見つかりませんでした。心のどこかで、「もし見つけても、怪我した母猫はお乳をあげられないし、誰も子猫を育てる時間はないし、保護した猫に一緒に育ててもらえないかとも思うけど、猫はほかの子猫を育ててくれないというし、あきらめた方がいいのではないか」と思っていました。

保護部屋に行き、依頼主であるFさんがお母様と到着したので母猫を見せると「この子に間違いないです」と再会を喜びました。

 

しかし、母猫には目の開いてない子猫を育ててもらうため離乳まで保護部屋で預からせてもらう事になりました。そして子猫が2匹もらわれたら、最後に残った子猫を母猫と一緒に迎えますと言ってくださいました。


保護部屋で母猫が目を細めて安心しきって子猫に乳をあげる姿を見て本当に頑張ってよかったと思った。怪我した子がお乳が張ってなければこの親子の猫を保護することはできなかった。

 

そこへ先生から電話が入り、「怪我した子の顔を縫ってあげようかと思ったけど、頭からあごの骨が見事にスパッと切れていて、触ると脳が飛び出しそうで治療は無理です」と。。。そして「猫も吐き気があるので、これ以上苦しめるのは可哀そうなので安楽死させます」と言われた。

 

「お願いします」としか答えることができず、同じ柄で姉妹かもしれないのに、1匹は保護され子猫も見つかり優しい依頼主さんの元へもらわれるというのに、もう1匹は怪我をして子猫も見つからないなんてあまりにも不公平だなと思いました。

 

きっとお姉ちゃんが妹のために体を張って頑張ってくれたんだね。

 

帰りに怪我した子にお別れを言いに先生のところに行くと猫は箱の中に入っていた。役所が土日休みなので冷蔵庫で保管しておくそうだ。箱を開け、顔を見るときれいに縫ってありました。先生が「だってあの顔じゃああの世で困るでしょう~」って!その言葉に我慢していた涙が一気にあふれ、つめたくなった猫をさすりました。

 

「助けてあげられなくてごめんね。キャリーで捕まえようとしたときは子猫を産んだばかりでお腹がすいてたまらなかったんだろうね、怖い思いをさせてごめんね。」固くはったお乳に指が触れた。きっと子猫の元へ帰りたかっただろうね。

 

何にも悪いこともしていないのに、人間に捨てられて外で必死で生きていただけなのに、餌を猫にあたえないでという看板が恨めしい。猫を捨てるなに書き換えてほしい。餌やりの人のせいで野良猫が増えるとクレームする人に言いたい!誰もこんなつらい目にあいながらお金もかかるのに餌やりを好んでしているんじゃない!飢えている子をほおっておけないだけなんだ!人としてあたりまえの感情であって、餌やりをしなくてもいい野良猫のいない社会にしてほしい!

 

国や市や町が犬や猫を殺すために住民から集めた税金を使うのではなく、捨てられないようにするために税金をつかうべきだ!猫を飼っている人たちも、生まれてくる子を世話できないなら避妊去勢をしてほしい!と強く願います

 

家に帰り、ここ何日か急な階段や斜面を何度も何度も上り下りした足が痛くなっていたが、怪我した猫の子猫の元へ帰りたいという気持ちや傷の痛みに比べたらこんな痛みは小さいよね。。。

 

仲間から明日も探しに行くなら手伝うとメールが入るが、誰よりも足を運んでくれたMさんもお父様が入院しているし保護した猫の世話も忙しいことがわかっている。ムートンもいろんなことを犠牲にして駆けつけてくれてるし、何よりも私自信が傷ついた猫を助けることができず精神的にも疲れてしまっていた。

 

メールでみんなにもうあきらめますと返事をしたのだが、なかなか寝付けず、いろんな事を考えていた。

 

今日保護した子猫のいた穴はとても小さくて、親猫が入るのがやっとだ。まわりの草がきれいに刈られて散らばっていたので最近草を刈ったのだろう。。。


嫌な予感がした。もし怪我した猫があの穴で子猫を産んだとしたら、最初は草で覆われていたのに草刈り機がどんどんあの穴に迫ってきて、逃げる場所もなくギリギリまで草刈り機がせまってきたところで飛び出したら?あの顔面にななめに負った怪我が納得できる。私は先日一瞬、草刈り機でやられたのかな?と思ったのだ。草の上に茶色の液体があったので怪我したときの血?草刈り機のオイル?と思ったのだ。今日その液体の匂いを嗅いだがオイルの匂いはしなかった。産直のおばさんにその話をすると「え~?逃げるでしょう~」と言われ、「そうだ、あの猫は人には近づかないし、草刈り機で当てようと思ったって追いつかない速さで逃げるはずだ」。。。そう思い直していた。

 

でも、もしあの穴にいたら?産んだばかりの子猫を置いて逃げられなかったら?


保護部屋で子猫が一生懸命お乳を探していてなかなか吸い付かなかったじゃないか。仔猫は自分の飲む乳首を決めていると聞いたことを思い出しさらに不安になった。母猫どうしが本当に姉妹だったら本能的に自分と同じ血の流れるあの子猫を自分の子として受け入れたのではないか?ライオンも同じ親族の子供を一緒に育てると聞いたことがある。

 

もし、怪我した猫の子猫が今日保護した子猫だったら、なつっこい母猫の本当の子供が今も帰りを待って鳴いているのではないか?もし、今日保護した子猫より大きくなっていたら生きている可能性ももっと高いんじゃないか?もう、気持ちは決まっていた「明日もう一度探しに行こう!」

 

 

 

5月20日
朝仲間に連絡をしたらムートンが既にパーキングエリアに着き探していた。私は「今日は絶対に探し出してみせる!この前子猫の声が聞こえなかったのは私があきらめていたからだ!」と自分に言い聞かせ、何度も何度も探した場所だが今度は木の棒で枯葉をたたいて音を出し母猫が帰ってきたと思って鳴いてくれ!と祈りながら耳をすます
「にゃ~!」

 

聞こえた!子猫の声だ!一斉にニャ~ニャ~と何匹かの声が斜面の上から聞こえた。

少し離れた場所で子猫を探すムートンに電話し場所を伝えた

 

斜面をよじ登るが草が覆い茂り、毛虫もいっぱいで、すべり落ちる。声の聞こえるホテルの基礎らしきコンクリートのところまでなかなか行けない。わきの階段を上っていくとホテルのボイラー室があり、先日ドアが開いていたので従業員に仔猫の声が聞こえなかったたずねた場所だった。ボイラー室には誰もいなくて、干してあったタオルに電話番号が書いてあったので電話をかけ事情を説明し、おいてあった脚立を借りると伝えた。私は子猫の声がしたあたりを上から見下ろした。


ムートンが根性で斜面を登りコンクリートの基礎まで来ていた。子猫を手に取り見せてくれた。まる2日間親の帰りを待っててカラスにもやられず何も口にすることもできなかったのに、よく生きていてくれた!

 

柵の間から子猫を受け取ろうとするが子猫の頭が柵の間を通らない。脚立を使えば柵に上って基礎のところに飛び降りることができそうだが、登るときはどうしよう?脚立を立てかけ下を覗くとムートンが自分の来ている服のお腹のところに子猫をかかえ、すべりながらも斜面を下りていった。さすが!いつもの私たちならこんな草の茂った場所はマムシや蜂も怖く、絶対に入れないだろうなと思った。


あきらめなくてよかった。こんなに可愛い子猫を殺してしまうところだった。昨日保護した子猫とまったく同じ白が2匹、茶トラが1匹だった。どこまでもそっくりな姉妹の母猫たちだね(確証はないが勝手にもう姉妹だと決めている)


保護部屋には1匹も子猫がいなかったのに、少し前に生まれた4匹と保護された1匹と昨日の3匹と今日の3匹で子猫の数が一気に11匹になってしまっていたのだ。
里親探しが困難なのに、この時はとにかく子猫が生きていてくれたことがうれしかった。

 

先生に一番に報告した。

「え~?見つけたの~?執念だね」って言われた、そうまさしく執念だ!


ムートンは車にミルクを持ってきていたのですぐにミルクを飲ませ、保護部屋に向かう。私は先に保護部屋に行き、ケージの準備をする。保護部屋の人が快くこんなにたくさんの猫を受け入れてくれ、本当に感謝の気持ちでいっぱいだった。

 

仔猫たちは歯も生えており、離乳食を食べ、砂でちゃんとおしっこもできた子もいた。仲間のM子さんSさんも保護部屋の猫を獣医さんに連れて行くために来ていたのでケージ洗いや、まだおしっこをしていない子のおしりを刺激してうんちやおしっこを出してくれた。

 

仔猫を育てた経験のあるM子さんがいるときに保護部屋に来た子猫は本当に運がいいね。みんなが保護部屋にこんなふうに集まる事はめったにないことなのに、1匹の猫がこんなに人を動かしていることがなんだかすごいなって思った。


仔猫たちを本当のおかあさんに会わせてあげたいが、今育てている子猫を育てなくなるといけないので会わせないことにした。
そこへ1本の電話が入り猫を欲しい方が来ると言う。お母さんと2人の娘さんだった。2日前に飼っていた猫を亡くしたばかりだったそうで、猫のいない生活がさみしくて絶えられず、前に広告に載せたこの保護部屋の事を思い出し電話してくれたのだ


茶トラの子がご家族の一番人気で家族に迎えていただくことになりました。この半年の間に、保護部屋に猫を直接もらいに来た人は一人もいなかったのに(ネットでの募集でもらわれた猫はいたのだが)保護した日に譲渡が決まるなんて!なんだかあの怪我した猫の不思議な力なのではないかと思わずにいられなかった。

 

保護した子猫の順番が反対だったら母猫は後から見つかった乳飲み子を育てなかっただろうし、乳飲み子を見つけるのが後で(怪我した日から母猫がお乳をあげていなければ)丸3日たっていたら助かっていなかっただろう。先生があの時子猫を探すと言わなければ他の猫たちを保護することはできなかっただろう。ずっとケージが満室で猫の引き取りを断っていた保護部屋だったが、最近里親様が決まった猫が何匹かいたためケージに空きがあったのも、母猫が自分の子ではないのに育てていることも奇跡のような出来事である。不幸な事故での始まりだけど、すべてがいい方向へと進んでいった。本当に良かったと言えるのは、もらわれていく子猫や母猫たちが、愛情いっぱいで育てられ幸せになった時だ。そのためにも私たちは里親探しを頑張ろう!


そういえば子猫を迎えたいと言ってた人が郵便局に張らせていただいた里親募集の張り紙を見て、連絡してくれていたので、電話をしてみるとすぐに子猫たちに会いに来てくださり、白い子猫を家族に迎えてくださった。息子さんは獣医さんなんだそうだ。そしてその2日後に残っていた白い子猫も以前保護部屋から猫を家族に迎えてくださった方が来て、連れて帰ってくれました。
怪我した猫の子はすくすくと育ち、1匹は育ての親猫と一緒に依頼主さんのもとへ、2匹は里親募集のネコジルシというサイトで申し込んでいただけ、1匹はたつの市へ。1匹は尼崎へ。
本当にたくさんの人と出会い、いろんな体験をし、不思議な縁が広がっていきます。


 

 

亡くなった猫に「結」(むすび)ちゃんと名前を付けました。結ちゃんを迎えに行くと先生がお線香をあげてくださり、お供えもしてありました。

 

いつでも会える場所にムートンと結ちゃんを埋めました。

その日は962年ぶりの大規模な金環日食の日。まるで天体の奇跡がもたらした出来事のようでした。


今度生まれてくるときは私のところに来てね。待ってるよ結(むすび)ちゃん。

 

 

 結(むすび)ちゃんがこの世に生まれ、小さな体で精いっぱい生きて、誰にも愛情を注がれることなく死んでいったけれど、誰かの心の中にいつまでも輝いて生きていてくれたらうれしく思います。

 

そして、結ちゃんに出会ったおかげで、私に何かできることはないだろうか?と 考え

こうしてホームページを立ち上げました。

 

募金で集まったお金を捨てられて生きていけない猫たちの保護、里親探し、不妊手術、治療になどに使わせていただきたいと思います。
そして結ちゃんからつながるご縁が保護部屋の猫たちにもありますようにと願いを込めて。。。

 

ホームページ内に里親募集中の猫の写真が出ていますのでどうかみなさまともご縁をむすんでいただきたいと思います。


 500円あれば猫の砂が一つ買えます。1000円あれば缶詰が12個買えます

 

私は自分が募金をする時に少しまとまった金額でなければと思っていましたが

小さな金額も集まると大きな大きなありがたいご支援になることがこの活動を始めてみて

わかりました

500円からの募金をお願いしたいと思います

 

ご支援の欄を開けると会計報告、物資報告も見られるようになっていますので

確認できた順に報告させていただきたいと思っております

 

「奇跡の猫」を読んでくださりありがとうございます